「なんとかかんとかだから、なんとかかんとかだ!」
話す光の塊が僕にそう叫ぶと僕の背中に真っ白な翼が生えました。
ニワトリやガチョウやアヒルやセキレイなんかの真っ白な羽が組み合わさってできた翼です。
飛べるのかも。ドキドキしながら背中に神経を集中させてみました。
バサ、バサ、バサ。
おお!羽が動く!
力強く羽をはばたかせました。
バサバサバサバサ!
羽ははばたくたびにボロボロと落ちて結局背中から 2 本の突起があるだけになりました。
こんな突起があったら一張羅のグンゼのシャツに穴が空くから引っこ抜きました。
ブシャアァと血が出て空気が触れるたびにキリキリ痛みました。
羽を手で集めて弁当を入れてもらったコンビニ袋に入れてキュッと結びました。
かたづけそこねた羽が 4 本あったから車にひかれた猫の背中にブスリブスリと刺しました。
胴体が太いから蛾に見えました。
マタギに撃たれなかっただけでもよしとしました。