背後から恐怖と一緒に走ってきた僕が車にひかれた猫を投げてよこして 4 メートル先の闇にサッと消えた。
車にひかれた猫を両手で抱きとめた僕は鬼、もしくは悪魔、さもなくば殺人鬼、そしてそれに類するものになったのが分かった。
大声で叫んで音の跳ね返り具合で僕を捜した。
マンションの屋上まで追いつめて車にひかれた猫を投げつけた。
コントロールが狂って僕の欠けた右手の 1 メートル先に車にひかれた猫が飛んでいく。
僕は走って車にひかれた猫を追いかけて捕まえようとして手すりから体が零れて車にひかれた猫もろとも 69 メートル下の地獄に落ちていった。
下を覗くと僕が赤沼の中に小さくグシャリとしていた。
横にチョコンと車にひかれた猫がいる。
拾ってまだ生きている僕を捜さないと。
(喉が勝手にヒューヒュー言ってて困るな)