僕が一日口をきかない理由
車にひかれた猫を拾って頭についた砂をパッパッと払ってフーッて砂を吹き飛ばしたら無音でポキリと猫の首が折れて僕の足に落ちて僕の足をグシャリと潰しました。億万九兆一百千六億五円十九一オイルダラーくらい慰謝料と思いました。でも、本当に慰謝料を請求しようと考えたのではなく、ただ単にふとそう思っただけなのです。だから本気にしないでくれ、って骨の見える首に話し掛けたけれど、今思い返してみれば猫の耳は僕の足元だし、慰謝料のことは頭の中で思っただけなので車にひかれた猫はこのこと知らなかったんだ。余計なことした!と恥ずかしくなって我慢できなくなって高い声で叫んでしまいました。だから罰として今夜は僕に晩飯抜き。そのことに不服な僕が睨んでこっちを見ている。早く寝ろ!と頭の中だけで思うつもりだったのに口に出てしまって昨日からずっと口をきいていません。