昔サーカスをしていた。
職業、サーカス。
あれだよ。
テントを張って虎や客やピエロや空中ブランコの。途中で軽業師。
それをしていた。
誰が、じゃなくてサーカス。
何年もサーカス内でのことを見ていたよ。
そうすると不思議な感覚に襲われる。
虎に激しく切り刻まれているのにまったく痛くないような感じ。
だって、サーカスの出し物は毎日同じで、客は毎日違っても同じ反応なんだもの。
だからサーカスをやめました。
しばらくぶらぶら。
仕事をしていなかったわけじゃないよ。
そう。ぶらぶらという仕事をしていたんだよ。
世界中で同時にぶらぶら。
太陽が出ている面ではそれこそ大忙し。
街中にぶらぶらがあふれているから。
なのでヘトヘトになって夜側だけでぶらぶらすることにしました。
そうしたら道には半分前は昼だった頃のものが落ちている。
コインとかガムとか(災いあれ!)痰とか(呪われろ!)。
あと、不思議なお肉。
ミンチとか。あとは毛むくじゃらでかちかち。
目玉を動かずぴくりとも動かずに声も出さずに絶叫。
ぶらぶらはやめて車にひかれた猫を集める仕事をすることにしました。
仕事休みにテレビを観ていたらサーカスをしていました。
すんごく面白い。
サーカスを見終えて仕事に戻りました。