僕の家の廊下には手のひら大の蜘蛛が巣を張っている。
暗くて見えないときはうっかりしてちょうど顔の位置にある蜘蛛の巣に突っ込んでしまい細く吸い付く糸を解かなければいけない。
そんなことを何度か繰り返していた。
そしたら今日、蜘蛛は斜めに巣を張っていた。
これなら行きは右端、帰りは左端を歩かない限りは蜘蛛の巣に引っ掛からない。
要は堂々と廊下の真ん中を歩けばいいだけのこと。
蜘蛛は巣の張り方を工夫したのに僕は何もしていないね。
首を切るとか膝から下を切り落とすとか方法はいくらでもあるのに。
僕が出来ることと言えば窓を開けて蚊や蝿を入れてあげること。
そしたら蝉が入ってきた。
壁にくっつこうと何度も壁に激突している。不器用なんだね。
次は蟻だった。
机の上の車にひかれた猫まで行列が出来ている。
ダリの絵みたいだ。
蟻は車にひかれた猫の上でパニックみたいに右往左往している。なんでだろう。
そのうち蟻は僕のところにも来て更にカラスまで来て僕を啄み始めた。
目玉から突付くんだね。
そしてお腹を。
車にひかれた猫より僕の方がおいしいんだ?ふーん。