1 日

朝の日差し。

今日は暖かい。

午前 5 時 10 秒前。

目覚まし時計の鳴る 10 秒前に自然と目を覚ます。

朝のニュースを聞きながら味噌汁を飲みつつ新聞 4 紙を読む。

車にひかれた猫の記事はない。

家の中の車にひかれた猫たちはキャットフードを前に沈黙。

歯を磨きながらメールのチェック。

2 件は電車の中で返事を考えないとな。

7 時には家を出る。

駅に着く途中に車にひかれた猫を拾った時に新着した春物スーツに血が付く。

手についた血をポケットの中のハンカチで拭きたいけれどズボンが汚れるから頬とおでこで拭う。

電車の中でメールの返事を考えるつもりが図書館で借りた本に読みふけってしまう。

駅に着くので慌てて切りがいいところまで読む。後でその部分は読み直さないとだめだな。

まだ静かなオフィスでメールの返事。

始業時間が近づき活気付いてくる。

午前中は手をひざに置いて静かに座っていた。

昼はソルサネリを食べながら 3 人とそれに対するヒトビトの反応についての不謹慎ジョークを 4 ページ分書く。

どうしてもドリカム・ネタが多くなる。

新入社員君にドリカムとか言うと馬鹿にされそうだな。

午後はうつらうつらとし、夕方、本屋に出掛けて立ち読み。

夕焼けが美しい。

ソリティアとマインスイーパで軽く残業をして帰社。

車にひかれた猫を入れた紙袋が染みてきた。

臭いを嗅ぐ。

家の庭にある地下に続くダストシュートを覗く。

長男にはまだ食事をあげなくていいな。

キンダガートンはドイツ語で「子供 ( = 花 ) の園」。

せめて庭を花一杯にしようかな。

家の中の車にひかれた猫はキャットフードを前に固まっている。ちょっとした現代アートみたいだ。

キャットフードを回収して回る。

もう箱もボロボロになってきた。そろそろ新しいキャットフードを買おうかな。

熱いシャワーを浴びてぼんやりと涼む。

日記を書く w/o いくつかの都合の悪いこと。

そんなこんなで 23 時。

お腹が空いたので水を飲んで眠る。

そして夜中に起き上がって深夜の街に引きずり出される。

街は迷路になったり罠になったりして何度か殺されたり ( スパーン ) 殺したり ( スパーン )。

車にひかれた猫が路上で血の噴水を上げたり月が歪んだりゲラゲラ笑う星が落ちてきたり。

不快な絶叫に耳を塞げば手のひらから顎の動きで自分の声だと気づく。

ナイフで首筋に魚のえらを作るも血管を傷つけて血を垂らしつつ家を探す。

平地では押さえつけられ坂や上り階段は頭がぐらぐらする。

楽なのは這いつくばって下へ下へと行くことだけど下がり続けるだけでは家に帰れない。

泣きながら髪を掻き毟って懺悔告白懇願。

雨が降ってきてぐっしょり濡れたゴムの緩んだトランクスがずれ落ちる。

寒さの中で 9 月の暑さを思い出すも罪の数々と明日ヤらないといけないことで喉が痛いのにまだ叫ばないといけない。

でも布団の中は暖か。

雨音でまどろみながら目を覚ます。

午前 5 時 10 秒前。