十数年振りに地獄に堕ちた。
昔は平気だったのに業火ですぐに気を失って死んだ。
熱気が肺に入って火傷して死んだ。
熱くて痛くて息ができなくて死んで死んで死んだ。
でもやっぱりだんだん慣れてきた。
死ぬ前に笑えるようになった。
Hello, world. じゃなくて Hell, world. だと思えるようになった。
そして死んだ。
プリント・デバッグで hello じゃなくて hell にすれば一文字少なくて済むやと思った。
そして死んだ。
h だと一文字だけど誤解されるかも、と思った。
そして死んだ。
死ぬほどの熱さは単なる死ぬほどの熱さだし、
死ぬほどの痛さは単なる死ぬほどの痛さだし、
死ぬほどの苦しさは単なる死ぬほどの苦しさだし、
死ぬことは死ぬことだった。
死んで死んで死にまくった。
でも苦しいのは嫌だ。
だから生爪を剥がしながら重い扉を開けて外に出て途中で車にひかれた猫を拾って家に帰ってカキ氷を作って食べた。