ジュール・ルナール丼

暗示のせいかもしれないけれどニンジンをかじると目がカッ!と見開く気がする。

大きなニンジンが何個か入っていたからその度に目がカッ!とした。

カッ!カッ!カッ!

目がよくなった気がするから夜空を眺めることにした。

上空は真っ黒なのに雲も星も月もない。

月がないのはおかしい。

少し怖くなって部屋に戻った。

その晩はずっと窓や壁や天井や床や頭や腹や目玉の奥をバンバンバンバン誰かに叩かれた。

体中から吹き出す汗でさっき拾った車にひかれた猫の肉片を洗うことができると思う。