物理的硬度を持つ思考

車にぶっ飛ばされた死猫が見つからない。

猫どこ。どこ猫。

飛んだのは見たけれど落ちたところは見なかった。

死。

地上に落ちないで地球の軌道に乗ってしまったのかな。

きっとそうだ。

垂らした血は空中で雲散するから地上に落ちないのかな。

そうに違いない。

でも毛なら五大陸に落ちるかも。

うん。

確か空には魚やキャットフードがないはず。

ああ。

死ねばいらないんだっけ。

ああ。ああ。

でも水くらいは飲むはず。

うう。

また帰る道が分からなくて同じ所を回る。

回るだけでは帰れないからとにかく進むことにした。

何日経ったのだろう。

大きな公園や小さな公園で休む。

車にひかれた猫を拾った。

ここまで飛ばされたのかな。

白だっけ。黒だっけ。チャトラだった気もブチだった気もする。

家や過去に見た車にひかれた猫と混じる。

でも宇宙まで飛ばされることはない。

だからこの車にひかれた猫はあの車にひかれた猫かもしれない。

これがそれじゃないければあれはどこ。

まだ落ちているのならひどいことだ。

拾わない限り僕が全て悪い。

知っていて放置。

あそこに戻るには?

だけどもう誰か拾っていたら。

それが死んだ猫を何回も殺すヒトだったら。

そうしたら僕は取り返せないからずっと悪いことになる。

でもどうせ忘れるけれど…。

そうやって忘れた車にひかれた猫をかなり思い出した。

ぎゃーーーーーーあ!!!