灰色のコンクリートに二枚の落ち葉。
と思ったら二羽のスズメで飛び去っていった。
飛び立つ時に「チュンチュン」って言わなかったと思う。
たいてい「驚いた驚いた」「逃げろ逃げろ」「(もう一羽に向かって)こっちこっち」と言うように「チュンチュン」言うのに。
そういえばさっきからやけに静かだね。
僕の耳が働いていないのかな。
声を出して確かめようと思ったけれど静かなこのままがいい。
手に持っているのは車にひかれた猫だと思っていたのに風雨に晒された古雑誌だった。
おかしいな。
いつ拾ったのだろう。
外に出た記憶もないのに。
ここはどこだろうね。
スズメにしては少し変な気がした。
叫んだらもっと怖くなるから我慢しよう。
でも叫びたい。
車にひかれた猫が落ちている。
体が緊張しているから力加減できないから握り潰してしまうと思う。
車にひかれた猫の周りでうろうろするだけ。
寒いからを言い訳にしよう。
卑屈になるのは嫌なのに。