月色の猫

月に照らされる水溜りの水紋を追いかけていたらここに辿りついた。

5 メートル先に月色に優しく光る車にひかれた猫が現れて一瞬で消えた。

心臓がトクッとした。

だから心臓は痛くない。

そして数秒後にそのトクッで体中が暖かくなる。

あの車にひかれた猫は笑っていた。

しかも餌をもらおうと甘えて駆け寄ってきた。

幸せな気分になった。

それに僕は何も持っていないからガッカリさせずに済んでよかったよ。