車にひかれた猫が水溜りに沈んでいくから悲しくなる。
悲しくなるの「なる」が鳴る。
何の音だろうね。
ガラスや鈴が真っ先に思い浮かんだけれど鋭すぎて胸と耳と心に痛い。
もっと優しい音にしてほしい。
プールに潜ると聞こえる水面へ上がっていく泡の音かな。
でもそれを今沈んでいく車にひかれた猫は聞いているはず。
残酷。
そういえば昼近く起きるとおならがブッと出る時がある。
寝ている間はおならしないから起きるのを待って出るのかな。
酷い、酷すぎる。
僕も身投げしようと水溜りに飛び込む。
ゴチンッ
数センチの水溜りなので頭を強かに打って悶絶する。
扉は閉ざされた。
ハーメルンの笛吹きに連れてもらえなかった子は僕の祖先に違いない。