梅よ殖やせよ血に道世

梅の花が咲いているよ。

梅の花って野暮ったくない田舎娘みたいで可愛いよ。

でもバラ科サクラ属。

そして梅が咲くと必ず冷たい雨や強い風が吹く。

風に舞う花びらを手をひらひらさせながら追っていたら車にひかれた猫がいた。

弱々しく鳴いて息絶えた。

車にひかれた猫を抱いてじっとしていると梅の花びらが僕と車にひかれた猫に落ちてくるからじっとしているよ。

車にひかれた猫の筋肉が弛緩して目が窪んできた。

梅って昔はムメと言った。

今の僕には「無目」に思えるよ。

だからおにぎりに入れた梅干の種を車にひかれた猫の目にぐっと入れる。

ここから芽が出たら根本には車にひかれた猫と僕がいるのかな。

そこまで抱きしめていられたらいいのに。

でもそれは無理だからかっぱえびせんでも買って家に帰るよ。