祈血の価血

深夜、風車に車にひかれた猫が捕まえられているように見えたから助けようと突っ込んだら風車に持ち上げられて地面に叩きつけられて内臓破裂と吐&流血。

流れる血を止めないと血の跡を追って取り上げられるから血を止めないと。

閉まっている個人経営の動物病院の前でもじもじしていると動物病院の明かりがつき、その後にワニを抱いた(リ)ヒ(゛)ト(゛)がやって来た。

しめた。しめてない。急患だ。僕も一緒に縫合してもらおうと動物病院の中に入る。

医者は僕の血を見てワニより先に縫合しようとする。

ワニはもう体が半分バッグになっているし、それは困るから逃げる。

こんな時にまだ死んでいない車にひかれた猫を見つけたらどうしよう。

さっきの動物病院に行ってしまう。

そしたら車にひかれた猫より先にまた僕の治療をするのだろうか。

車にひかれた猫とお金だけ置いて逃げればいいかな。

翌日迎えに行けばいいし。

でも死に目に会えなくていいの?

ここに隠れて血を舐めていれば車にひかれた猫には会わないだろう。

でももし今夜どこかで車にひかれた猫がいれば放置になる。

車にひかれた猫がいませんようにと走りながら心臓の鼓動に合わせて祈る。

僕の流血がゆっくりと乾いていき、夜が少しずつ明けていく。

早朝のすべてが水色の世界で遠くの風車を眺める。

車にひかれた猫のいない晩だったんだ。