さっき拾った車にひかれた猫を抱き迷路をさまよう
あ、め、迷路を解く方法 面白かったね
脱出ではなく、解く、というんだね
あ、み、右手法、ああ、左手法じゃ、外周に出口がなかったり、出口が迷路内にあると出られないよね
あと立体構造の迷路も
あ、あ、それと、そもそも出口がない場合も
出口がない場合?
あ、世界全体が、め、迷路とか
ははは
じ、人生とか
その迷路は生まれることで入るなら、死ぬことで出ることにならない?
あ、し、死ぬと、今よりもっと酷い人生が待っているから出口がないの。だから今が酷くても自殺しないのは前世や前々世と比べてどんどん酷くなっていることを覚えてはいないけど潜在的に知っているから本能的に避けているの
証明も反証もできないことを確定にしてはいけないよ
あ、あ、あ
悲観は気分だけど、楽観は意思もしくは理性だよ
あ、あ
信じるって、あるかないか分からないことをあることにして、ないことを無視してしまうから嫌いって君が過去言ってたじゃない。悪いことを考えても仕方ないし、別の楽しいことを考えようよ
あ、な、なにがいいかな
迷路は都合がよく君が通れるとは限らない
あ?え?
この先の道は狭いから通るには耐えられない激痛になるけれど君は君自身で体半分を引き裂かないといけない
あ!あ!
それと大切なものを捨てないといけない。重すぎるから
あ…あ…
さっきはああ言ったけれど、実際、死ねばもっと酷い世界が待っている
ぁ…ぁ…
ただこの道を通るには死んだほうが楽だ。次が酷いことになるが
あ、あ、この道を通る酷さと、次の人生の酷さはどっちが酷いの?
短期的には今のほうが酷いが、次の次の次あたりはもっと酷いことが頻繁にあるから、今は耐えて先延ばしにしたほうが長期的にはいいだろうね
あ゛、あ゛
ニーバーの祈りを思い出している?
あ、あ(考えていなかったけど、こくこくと頷く)
大切なものって、車にひかれた猫が自分のことを言っていると思った?
あ、あ(思ったけど首を横に振る)
君は最期は自分を選ぶさ
はい、それは半鐘と照明できない黄身の違憲だよね、新じる童謡の
さあ、選ぶんだ