すごくおいしかったから車にひかれた猫に食べてもらいたくて外に出る
なにを食べたんだっけ
いつどこで食べたんだ
野菜だったか果物だったか魚か肉か
チョコレートとかアイスとかケーキとか甘かったかな
とにかくおいしかったから食べてほしいのに
記憶は暗い部屋しか出てこない
あったのに
食べたのに
おいしかったのに
まったく思い出せない
努力が足りない
真剣じゃないからだ
本当に車にひかれた猫を思えばそんなことにはならない
それなのにまったく思い出せない
認知症やブレインフォグとか何か原因があって頑張ってもできないのかな
いつか思い出したら食べようね
いつか食べようを忘れても、おいしいものを食べたら車にひかれた猫と食べようと思えると思うけど、おいしいということを忘れ、車にひかれた猫も忘れたら
その時に今のように思い出せなくて苦しむだけなんだろうか
苦しみも忘れたら
それは僕から僕がいなくなり、車にひかれた猫だけが残る世界
僕だけ苦しまないのは心苦しいから苦しむのが僕の夢