まどれる、まどれぬ

2023-10-18

椅子の上に僕がいて

皿の上に無臭のマドレーヌ

口に入れる前にポロポロと崩れて

口に入れるとパサパサのボソボソの無味

やった!これだ!

椅子からダッシュで紅茶を持ってくる

『失われた時を求めて』で

私は、そのマドレーヌの一片を浸けてほとびさせたお茶を一匙、機械的に、唇にもつていつた。

ってあるけど、今まで紅茶に浸すにはもったいない美味しいマドレーヌばかりの幸せな人生を送ってきたんだよね

ついに紅茶に浸せる!

うーん、ほんのり甘い美味しくないお粥みたい

ポリッジだっけ、美味しくなかったなー(もぐもぐ Mazzy マジ闇)

プルースト効果はマドレーヌの香りで記憶が蘇ることだけど

ああ、でも美味しかったマドレーヌの香りが思い出される

バニラオイル、バター、はちみつ、しっとり

ダージリン味のフィナンシェも美味しかったな

自炊したとき黄身だけ使う料理あるけれど白身だけ使う料理ないなと思っていたら

スイーツの本を読んだら白身だけ使う世界が広がっていた

スイーツといえば「ほとびさせた」は桜餅

「ほとびさせた」が分からず辞書を引いた

潤びるは水分を含んでやわらかくなる、ふやけるという意味

参考に伊勢物語の「皆人、乾飯のうへに涙おとしてほとびにけり」

唐衣着つつなれにしつましあればはるばる来ぬる旅をしぞ思ふのシーン

都に置いてきた愛する人を思い出して涙するシーン

ほかほかご飯が袖口にくっついカピカピになっているのが乾飯

そこに涙一粒落ちて、恋しくて、物思いにふけ、乾燥米がふやけるまで食べないでいるんだろうな

半分以上残った無味無臭マドレーヌが僕を見ている

で、道明寺が乾飯を作って、乾飯で桜餅を作ったのが道明寺ってわけ

桜餅食べたいな。甘じょっぱい桜の葉と甘い桜餅の組み合わせが最高

紅茶と緑茶が同じ茶葉なことも驚いたな

マドレーヌがまばたきもせず僕を見つめる

給食を残して夕方まで残された感じ

夜の放課後、車にひかれた猫を拾いに行きたいのに

牛乳とはちみつに漬けてもまだボサボサしてそう

リキュールに沈めたら。でもリキュールの味が悪くなりそう

いっそカレーに入れたらいいのかな

マドレーヌがパサパサなのに涙ぐんでいた

ごめんねと慌てて口に一気に頬張る

ゆっくりゆっくり唾液で少しだけ甘みが出る

パサパサの車にひかれた猫を思い出す

プルースト現象と書いたときに猫がご機嫌な時の prrrr を思い出す

なんだかいろいろ思い出すなー