生きている Tale

2023-5-18

いつも死んだ車にひかれた猫を拾っているから

たまには生きている車にひかれた猫を拾う

もう静かでじっと見てくる車にひかれた猫もいれば

怒りと恐怖で眉間に皺寄せ

口をカッ!と開いてすごく怖い顔する車にひかれた猫も

その時は僕がニンゲンに見えているのか

バケモノに見えているのかと複雑な気持ち

病院に連れていく僕と

傍らに寝そべる僕と

離れた場所に移動する僕を観察する

その夜は生きている車にひかれた猫を考え眠れなくなる

死んだ車にひかれた猫なら眠れるのか

声も音楽も文字も映像も見たくなくて

生きた車にひかれた猫の運命を想う

うわああああ

そのまま朝を迎える

最近、朝、ぐっすり眠っていたんだな

鳥のさえずり

昼まで定期的に聞こえる

うぐいすもいるんだな

鳴く時間が短い

鳥の鳴き声で癒されてはいけない気分

車にひかれた猫に見えないご飯をあげる

すべての車にひかれた猫にご飯をあげることを忘れていた