2023-10-14
砂漠が好き
砂漠を歩いて回れ右して砂丘に座って休む
点々と続いていた僕の足跡が風で消えていく
僕の水分が失われ
肉も風化し
骨も砂に飲み込まれていく
僕も僕の足跡も消えてなくなる
砂紋が美しい
砂の大きい波と小さな波
自然の砂紋の種類に特別な名前はないんだろうか
砂漠に住む国なら言葉があるかもな
月に辿り着いてクレーターの盛り上がった淵に座る
風がないから足跡が消えない
細菌がいないから僕は腐らず水分がゆっくりと失われてミイラになっていく
月にそぐわないから僕を回収して足跡を熊手で完全に消していく
静止軌道から帰還して家に向かう途中で車にひかれた猫を見つける
僕を持っていると車にひかれた猫が拾えないから僕を捨てる
僕が邪魔にならないようにゴミ捨て場の横に置いていく
すぐに回収に向かったけれど道を忘れてしまった
ゴミだと思って捨ててくれればいいんだけれど