幸福と幸福

2024-03-11

車にひかれた猫を探し中、何本かのほっそりとした瓶を持った幸福に会う

幸福が幸せそうに自分の誕生日パーティをしているから僕に来てほしいという

悲しそうな顔をしてみせたり

是非から絶対に来てよと、いつものように熱心に誘ってくれる

普段なら絶対に行かないけれど

飢えていたから嫌だと思いながら「うん」と発声する前に後悔する

親切や善意、寛容や知性、品性たちがそれぞれ

いつか食べたいと思っていたものを持ち寄っていた

誰も食べたことがあるとマウントせず

美味しそう、はやく食べたい、パッケージが素敵と楽しそうに談笑

少し多めに残っているものを食べる

目が合うとみんな微笑んでくれる

僕の服に付着した車にひかれた猫の毛をつまみ

猫を飼っているか聞かれる

帰らないと

中座の失礼を詫びると幸福が僕をハグする

多幸感でとろけそうだけど手で押し、幸福に僕の幸せを知っているでしょうと感謝する

みんな玄関まで来てくれて靴を履く僕に今度桜見に行こう、温泉に行こうと言ってくれる

扉を開け、がれきの風景を見て振り返って笑顔でバイバイする