せっかく新しい靴を買ったのにまだ寒い春の夜を裸足で歩いている
地面は黒く冷たく
小石たちは踏まれて怒って痛い
雨露をしのぐ場所が見つからないまま眠気で何度か崩れ落ちる
あと数時間はバスが来ないから
このバス停のベンチで眠ろう
始発バスの乗客に見られたくないし
不親切なニンゲンに何をされるか分からないけれど地球は冷たく固すぎる
寒い
両手を腿で挟む
ベンチは細くて突起があって痛くて寒くても猫のように丸まれない
昔はゴミ箱があって捨てられたもので即席の靴下を作れたのにな
寒い
寒い
車にひかれた猫が拾えていれば冷たくても抱いて幸せに震えて眠れるのに
眠いのに寒さとベンチの突起が痛くて脳と体がぐずっていらいらと眠れない
月とか、静かなこと、歩き疲れからの解放、日の出を考えることで騙せないか
そうだ。起きたらぼたもちを食べよう
春分の日のぼたもちは疲れているから
数日前や数日後に食べるのがおいしい
ぼた
も
ち