博物館で剥製の動物を眺める
どれもカサカサのカチコチに乾燥していて毛が剥げていて悲しい学問的価値
ガラス玉の目玉も視線が合わない死
自然に還らない死体
自然界なら風や雨、動物や虫、微生物と夜と昼で分解されるのに
埋葬虫と書いてシデムシ
死体からよく出る虫だから死出虫とのこと
食べて、土へ
死出の旅を送り出す重要な役割だからだと思ったよ
もしくは死入虫
中の肉がすべて消え、乾燥した毛しかない車にひかれた猫がいる
風化
風に舞って重力でどこかの土に
そこがコンクリートなら雨は低きに流れて海へ
シデムシは循環の一つ
1 年 666 日を 666 回の 666 回、車にひかれた猫を家に埋める
なぜ貝塚みたいに車にひかれた猫塚にならないのか学芸員に聞いてみる
土は酸性で、骨は溶けてしまう
でも貝はアルカリ性だから酸性の土に中和して残るとのこと
蒙が啓かれるというか
目から鱗
の鱗は魚の?爬虫類の?
聖書に書いてあったので動物学者や言語学者ではなく神学者がわかるのかな(うろこのようなもの、だけど)
爬虫類なら瞬膜あるけれど
爬虫類が霊長目になったら目から瞬膜というかな
いや、やはりすでにあるものからプラス何かが剥がれるというか
酸性といえば雨もエイリアンの血液も酸性
血液が酸性ってすごいな
消化器や脳に流れるのも強酸なんでしょう?
博物館は鼻息がふんふんするけれど
絶滅した剥製たちが瞼と目と脳に焼きについてしんみりしてクールダウンさせる
剥製の虚ろで焦点の合わない視線が僕の心に突き刺さり続ける