これから見る熊の話をしてもいいけれど
今まで見た熊の話
雪原の白樺林を走る汽車の車窓の風景は半時間変わらない
熊だ熊だと言い出した乗客たち
運のいいことに熊がいる側の車窓
白樺林を熊が真っ直ぐ前を向いて全力疾走
熊が逃げているというニンゲンもいるけど
僕はあの熊は汽車から逃げることはないと思う
もう何度も汽車を見ているだろうし
汽車は線路からたまにしか外れないのだから恐れないよ
だから遅刻している熊の集会に急いでいるんじゃないかな
遅れると木をなぎ倒す力で殴られるとかさ
クマ牧場に行く
手や足を上げたり振ったりして餌をねだる腹の出た熊たち
水や血が下に流れるように熊は悪くないけれど
餌をねだらず
鋭い目と筋肉質の体でニンゲンをぶち殺して食べ物を獲得してほしい
牙をギラギラさせて
よだれをダラダラさせてさ
熊料理店へ
鍋に入った肉は堅くて肉は僅か
噛むと味噌では隠せない獣臭
クマ牧場の死んだ老熊かな
死んで、食べられて、不味いと思われて
それでも森で出会ったら
パデエタンだったらいいな
クマ牧場を楽しめるニンゲンが映画版のパディントンを楽しんでいると思っている
すごく太った黒い猫がいたんだけど
育児放棄された子熊をニンゲンの飼育員が育てる
飼育員が離れると子熊は機械みたいなすごく大きな声で叫び続けて飼育員を追いかけて
足に力強く抱き着く
何匹かの子熊を見たけど焦点が合わない目をしている
子熊時代の特徴なのかな
それを見ていて、あの大きな黒猫が熊みたいな猫みたいだなと思いながら見ていた
小熊猫だとレッサーパンダなので子熊猫
あの子熊猫はどこに行ったんだろう
車にひかれた猫になった可能性を考えないようにしているから
車にひかれた猫になった可能性は考えてないと考えているよ