このまま僕はあの刃でメキメキのザクザクにされるんだ。
車にひかれた猫回収車のあの牙で砕かれる車にひかれた猫のように僕もばらばらのめちゃくちゃになるんだ。僕は自分の死に様を見るのが恐くて目をつむって歩く。除雪車のエンジンの音が近付く。目をつむってもライトの光がまぶしい。ぶんぶんいう刃の音が近付く。
エンジンの音が静かになってそして消える。ああ、僕は死んだんだ。痛みもなかった。寒い。ただ、寒い。ああ、寒さで耳が痛いや…
「おい、悪いけど車道歩いてくれるかい。」
目を開けると僕の目の前に除雪車は止まっていた。ドライバーのおじさんが身を乗り出している。
僕は「あいうえ…」とつぶやいて車道に出る。車道は車のタイヤによって磨かれてツルツルで僕は転んでしまった。鼻からどどどと血が流れる。暖かくて気持ちがいいや。ポケットから手を出して鼻を拭くのは寒くていやだからこのままにしておこ。
死体だらけのこの部屋で、僕は毎朝目を覚まし、まだ生きている猫残し、メールを読みに学校行く。
車にひかれた猫たちは、こんな出だしで書いてみた。こんな日記を書いてみた。昨日あった出来事を、次の日の今日、書いてみた。
家では猫が死んでるな。だけど僕はここにいる。車にひかれた猫のこと、考えているくせしてここにいる。車にひかれた猫のこと、考えているなら今すぐに、家に帰って抱くべきだ。車にひかれた猫たちを。
それでも僕はここにいる。僕は自分のことばかり、嫌いな自分のことばかり、死にたい自分のことばかり、自分の自分のことばかり、やっぱり考えているんだよ。少しはまともに振舞えば、もう少しここにいれるから。