腹を押してもみんなが嫌がる鼻を押してみてもニャーとも鳴かなければピクリとも動きません。やっぱり壊れているんだ。新品なのにもう壊れているのか。拾って持って帰ろおっと(いいんだよね?違法じゃないよね?)。
部屋の本棚の上に置いてみました。粗大ゴミの中にあった壊れた車にひかれた猫はフランス人形のような置物に感じましたが、僕の部屋にあるとただの車にひかれた猫になってしまいました。
ああ、これは外で食べるおにぎりがうまいの法則だな、と一人ハハーンとしてしまいました。
ピンポン!ピンポン!!ピンポン!!!ピンポン!!!!
と。
うるさいんじゃい、われと思いながら、扉は開けず「何?」と聞きました。新聞勧誘が多いからねぇ。一時期のピークは過ぎたけど、なんだかまだたまに来る。
「町内会の者です。ゴミ袋持ってきました。」
来たよ。これだ。「越してきたものですが」とか「近所の者です」とかがパターン。いらんわい、死ねと思いながらも「ならポストに入れといて。あはん。」と言って部屋に戻りました。入れるわきゃねーんだよ。町内会の人じゃないんだから。あ、でもゴミ袋いいな。車にひかれた猫の汁用敷き物とか、中に車にひかれた猫の附属物を入れたりとかね。
いやん、待ってと思って扉を開け、不景気そうに歩くしけたおやじに体当たり。
おやじ、地面にのびる。
あ!道路にゴミ袋が落ちている。警察に届けて迷惑かけるのもいやだし、もらっておこっと。そうそう。おやじ、邪魔だからそこに寝るな。