僕を取り囲む私を観察した不定期日記で自分は誰?


僕に命令するな

ガツンと当たって血を吐いて死んだ猫を僕は拾った。車にひかれた猫を抱いて僕は家に帰ることにした。

向うから幼稚園児を連れた親子が来た。

「殺せ。」

腕の中の車にひかれた猫が僕に命令した。そんな態度じゃ僕はやだよ。

しばらくして2人の高校生が自転車で走ってきた。

「殺せっ!!」

怖い声で言ったって僕はやだよ。なんだ、その命令口調は。

今度はタンを吐いたジジィだ。

「殺せ殺せ殺せ殺せ殺せーーーーーーーーーーーっ!!」

ふん、今殺そうかなーと思ったけど君のその態度じゃやだよ。ものを頼む態度じゃないね。

車にひかれた猫は腕の中で怒り狂っている。ピクリとも動かないがそれが伝わってくる。

猫の血に濡れたバスが止まりぞろぞろと人間が降りてきた。腕の中の車にひかれた猫は相変わらず高圧的な態度で殺せと叫びまくっている。キチガイみたいだ。静かにしろよ、少しは。どうしたっていうんだ。気持ちは分かるが僕に八当たりするな。八当たりしたい気持ちも分かるが君のその態度はいただけないぞ。まだ言ってるのか。言うのやめないとここに置いていくよ。ほら、僕行くよ。言うのやめないと僕は行っちゃうよ。あ、もう1メートル離れたね、って言っている間に2メートルだし3メートルだ。4メートル、5メートル、6メートル…。

後ろを振り向かずにどんどん歩く。かすかにあの猫が殺せーっという絶叫に近い声が聞こえる。50メートルくらい歩いた。もう猫の声が聞こえない。

引き返してみた。お互いなんだか気まずくて黙って家に帰りました。


一緒に寝ました

寝ようと思ったら布団の中にすでに車にひかれた猫がいました。眠ってる。起こさないようにそっと持ち上げて横に置きました。ふふふ。寝惚けて僕を蹴っとばすなよ。たとえ足しかない車にひかれた猫とはいえ僕の睡眠を邪魔されたら仕返しするからな。

おやすみ。


1,0000倍

200トンはありそうな超巨大猫をひこうとトラックやダンプカーが向かっていきます。でも死ぬのは車の方です。映画のように派手に爆発しないのが見ていて迫力ないけれどそれでも爽快です。大破した車の残骸を超巨大猫は尻尾で軽くペシとはらいます。

くーーっ、全国のテレビの前の車にひかれた猫はビデオに取っておかないと後悔するぞ。

レポーターが悔しそうだ。ざまぁみろ。200トン猫だぞ。地上の車でひけるものか。車にひかれた猫にできるものならやってみろ!!ばーか、ばーか、うんこたれー。

速報が入ってきました。政府は200,0000トンの車を建造することを発表したのです。日産、トヨタ、ホンダ、三菱、いすず、スズキ、マツダ、日野が共同して作るそうです。

逃げろ!

でもどこに?


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