猫料理を持ってくるボウズに「車にひかれた猫の肉か?」と聞いてみました。ボウズは「アルバイトなので分かりません。」と答えました。
「ナンナンダ。イッタイ。」
僕は万歳三唱に紛れてつぶやきました。
猫の血
猫の肉
猫の骨
猫の脳
猫の汁
猫の耳
猫の糞
地面が真っ赤です。空気は異臭です。
車にひかれた猫の死体をべっちゃりと付着させて地球はグルグル回っています。
つまり僕も回れということですか?
そしてスーツの中の僕の体にも違和感。腹のあたり。まさぐってみる。ヌルリとする感触。ワイシャツにつっこんだ手をそっと出してみる。赤。血。
もう一回ワイシャツに手を入れて腹をまさぐる。
ヌプリ。
手が腹の中に入る。冷たい。柔らかいような硬いような塊をつかんでひきだす。
それは全身血に濡れた車にひかれた猫。目をつむっている。まだ腹の違和感を感じて腹に手を入れる。またつかんでひきだす。血に濡れた車にひかれた猫。
まだまだ出てくる。30センチくらいの車にひかれた猫がどんどん出てくる。ワイシャツも手も血で真っ赤だ。どんどん足元に積み上がっていく血まみれの車にひかれた猫。
親戚の誰かがやめなさいと叫んでいる。でも、腹が…。