僕を取り囲む私を観察した不定期日記で自分は誰?


記憶は

僕の脳ミソに埋め込んだナントカが古くなってナントカ内につまったナントカ液が漏れているような気がした。なぜなら脳ミソがウーウー唸っているから。

ナントカを埋めたのなら取り出せるはずだ。どこかに取り出し穴があるはずだ。『スーパーウーマン』でも入口があるなら出口があると言っていたし。

どこから入れたか思い出そうとした。

思い出せない。入れる時は全身麻酔をしたから覚えていないのかな。いつ入れたっけ?

思い出せない。脳ミソを交換したのかな。でも、3歳まで記憶がたどれるぞ。夢で本棚の中に異世界の入口があるのを見て実際に本棚の本を全部出して折檻されているや、あはは。って僕のことだぞ。ま、いいや。よくないけど。それはともかく3歳の記憶があるという事は3歳の時に交換したのか?

分からない。

横で寝ている車にひかれた猫の垂れた脳ミソをすくう。

こんな柔らかいものをどうやって取り出すんだろう。不思議。


白木の箱

唸る脳ミソを搭載して学校に行きました。3つ首ドワーフの親子に目を合わせないよう歩いたことと、点滅する斑点の空を見たことだけは覚えています。その後に倒れてしまったみたいです。気がついたら火葬場で燃えていました。それでもって灰になってしまいました。

火葬した人間の灰を森にまくのはいけないことだけど、ピーターラビットの赤いチョッキを灰で汚さないようにまけばいいと思ったので森にまきました。

あの僕が燃やしてしまえばこんな小さな箱に入ってしまうなんて驚きでした。帰りに拾った車にひかれた猫の生首がちょうど入る箱と同じ大きさになるなんて。ちょっとビックリ。


おんぶ

駐車した車のタイヤの下に車にひかれた猫がくの字になって敷かれていました。車をえいやーと動かして猫を取り出しました。腰が痛くて目をつむって堪えていると、猫がお礼におぶって家まで連れていってあげるよニャンニャンと言いました。好意に甘えておぶさりました。

腰に手をあてた僕の下に車にひかれた猫がくの字になって敷かれていました。馬鹿やってんじゃねーと僕をどかして猫を取り出しました。違うよ、お礼におぶって家まで行くんだよニャンニャンと猫が言いました。勝手にやってろ、と思って本屋に行きました。

たっぷり本を立ち読みをして帰るとさっきの所に猫におぶさった僕がいました。1ミリも動いていないみたいです。いつまでもやってろ、と呟いて家に帰りました。


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