だから僕は小さい頃魔法使いになりたかったからチャームの魔法くらいは使える、と言った。それで面接官などホイホイのホイだと。私に使ってみなさい、と言うので僕は呪文を唱えはじめた。講義している教室があるから静かに唱えなさい、と言われた。ふふん。魅了されるのが怖くてそんなことを言っているんだ。内心ほくそ笑んだ。もう少しだ。おやじはもう少しで僕にメロメロになる。呪文にかかるまいとこっちを睨みつけている。
就職課にいる職員がくすくす笑っている。どうやら彼らまで僕のチャームに影響されてハッピーな気持ちになってしまったらしい。まだ僕の魔法の腕は落ちていないことを確信。どうしようかな。大魔法使いになって民を魔法で洗脳し、統治しようか。
「■■君。もうやめなさい。」
おじさんが言った。しまった。大魔法使いになろうかな、なんて考えていたから魔法に神経が集中されず、不完全なものになってしまったのだ。うう、なんて僕は未熟なんだ。
僕 「出直してきます。」
おじさん「そうしたほうがいいね。」
結構ショックだった。最後のつめが甘い自分が許せなかった。最近魔法を使っていないから腕が鈍っているのかもしれない。僕がとぼとぼ歩いていると車にひかれた猫が瀕死で転がっていた。
「死の呪文。○○!!」
(真似されると危険なため伏せ字にしておきます)
僕は鋭く唱えて魔力を足に集中させ頭を打ち砕く一撃をくらわした。即死だ。安楽死させてあげたとはいえ何かやはり抵抗感がある。帰り道、靴の裏に骨がつき刺さり、そこから入る雪が冷たかった。