車にひかれた猫は反対車線へふっ飛び、対向車にひかれ、後から続いてやって来た車に踏み潰されてまたひかれてふっ飛んでひかれて踏み潰されてはねられてふっ飛ぶ。
止まれ。一台くらい止まれ。もうひくな。やめろやめろ。ああ、ああ。
車にひかれた猫はどんどん布に変わっていく。地面は赤くなり内臓と肉片が飛び散る。車はどんどんどんどん果てしなく果てしなく右から左から現れてはひく、はねる、潰すを繰り返す。
死ね。消えろ。馬鹿ども。滅びろ。死ね死ね死ね、ああ、死ね、ああ、ああ、死ね…
車にひかれた猫の頭がちぎれて足が飛び、内臓をぶちまけ、体がちぎれ、どんどんどんどん小さくなってくる。車は猫を細切れにしていく。潰していく。千切りにしていく。
深夜になり車が消える。地面にあるのは破片と赤い染みだけ。雪が降り出来事を隠していく。そしてまたどこかで車にひかれた猫が消えていく。ああ、ああ。