僕を取り囲む私を観察した不定期日記で自分は誰?


おにぎりは罠じゃない

げらげら笑う人たち。見てみれば分離帯に猫が一匹。猛烈に走る車の中で身動き取れずただただ鳴いている。その鳴き声も車の耳障りなエンジン音で聞こえない。車は無限に増殖して走り続け猫を道の中央に閉じこめる。

次の日見てみた。まだいる。弱っているようだ。車は夜になっても深夜になっても次から次へと走っていく。次の日、猫はまだ閉じこめられている。次の日も。あれでは餓死してしまう。僕はおにぎりを買って投げよこす。ああ、猫の手前、車が走るゾーンに落ちてしまった。

猫はよろよろと立ち上がり、狂ったように走る車の道へ出る。おにぎりに近づいていく。

ギャーン!!

猫はふっ飛び、どさりと落ちる。車にひかれた猫を見てまたみんなはげらげら笑った。おにぎりの罠はナイスだと僕の肩を叩く。違う、違うんだ…


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