そんなこと、関係ないよ、と、車にひかれた猫が、チョコレート色の、肝臓を、見せて痙攣しています。血を、僕の指に、濡らして、白い雪にこう書きました。
恥ずかしいので、隠しておきます。
傷を舐めようと舌を出したときに糞の臭いで手を引っ込めました。
血を拭こうと服につけたときにちくりとして手を引っ込めました。
手のやり場がありません。傷が痛いです。血が流れます。糞臭いです。でもいいです。待てば傷も治るし、血も止まるし、糞も乾きます。傷が治るまでベンチに座って大腸2メートル伸ばして寝ている車にひかれた猫を眺めていました。
と絶叫していて僕は耳を手でふさぎました。絶叫は耳を閉じてもなお僕の脳ミソに響くので目をつむりました。まぶたの赤いような黒いような闇の中に車にひかれた猫と血が見えて頭が痛くなります。壁にがんがん頭をぶつけると絶叫がやわらぐ感じがします。気がつくと僕も車にひかれた猫の横で頭から血を流して倒れていました。
だからナニ?(突攻野郎Aチームのモンキーのように)
やはりアレですかね。アレじゃ分からない君のために日本語で語らせて頂けるのならば僭越ながら私(わたくし)自称■■から言わせてもらえればお日柄もよい本日に言わせてもらえる光栄に燕尾服(防御力4)を己の尿で汚しながら目の焦点合わず、つけ加えるならば瞳孔散大で言わせてもらう所存でありましそうろう。かしこ。
なんだっけか。ああ、そうそう。アレのことね。アレって今日がヴァレンタインだからですよ。ニンゲンたちのバディから発するフェロモンのせいで僕ちゃんの自律神経もメロメロって天才猿カンジって感じってな感じといった感じ。
街に溢れるピュアなエナジーに私のハートもドキドキ。思わず興奮して車にひかれた猫をガルルと鷲掴みにして喰いちぎりそうになるので
「空襲!!空襲!!」
と叫びながら書を捨てて街に走り出しましたよ(家にいると車にひかれた猫の迷惑になりそうで。キャピ)。猛烈Bダッシュかましたせいでズボンはいていないよ。かましているね。あっは!!
首を360度ぐるぐる回しながら周囲をLycosサーチすればいるいる。激白ってヤツですか。いや、告発か。いえ、原発?違うって原チャリだって。おいおい、それを言うならママチャリ。ずれてるぞ、ママスパゲッティーだよ。いい加減にしろ!!告白だ。告白。げへへへへ。そういうオヤジ臭い笑い止めろ、自分。でへへへ。
ビンゴ!!車にひかれた猫が落ちているやん。尻尾もってぐるぐる回して歩いたら血が飛び跳ねてマイ服やマイ顔に点々と血がついたよ。ショーウィンドウズ95を鏡にしてテメェを映してみるとなんだか手術後のドクターって感じ。ヘイ、ドクター。儲けているかい?ガハハハハ。
あんまり思いっきり猫回したせいで尻尾切れて本体ぶっ飛んでいったよ。さすが一回車にふっ飛ばされた経験があるせいか飛びなれたものだね。ひゅーーーーーと行ってボテと落ちたよ。
でもズボンはいていないせいか寒い寒い。どうしてくれんだよ。おい。あん。そこの69過ぎのババァ。ナニ見てんだよ。ナニをか?え?この猫俺が拾ったから俺のモンなんだよ。ああん。何とか言えよ、コラ。糞ババァが。せっかくのヴァレンタイン96だっていうのにすっかり覚めっちゃったよな。
365の日常に埋もれてしまわないために
言葉だけでは恥ずかしいから贈り物を添えて
僕は
車にひかれた猫の代わりに
車へ呪いの言葉と猫の糞を投げつける
想いを込めて
気持ちを新たに