僕を取り囲む私を観察した不定期日記で自分は誰?


霧のかかった水族館

午後2時まで眠っていた。その間に朝日新聞が景品を持ってきたり、誰かがアパートのプロパンガスを取り換えたりの音で目を覚ましたから浅い眠りを続けていた。

人に出していないメールがあるから書かないと…とぼんやり思って眠りに堕ち、ああ、Windows のアイコンをエディットできるフリーソフト探さないと…とぼんやり思って眠りに堕ちていた。

夢の中だろうか。それとも現実だろうか。部屋にいる車にひかれた猫たちが部屋中を海の中に漂う死んだ魚のようにゆらゆらと思い思いの高さで浮かんでいる。

僕が施設に行ったと思って浮かんでいるのだろうか。いつも僕がいないとこうやって浮かんでいるのだろうか。それとも単なる夢なのだろうか。もし、僕がいない時にみんなでこうやって浮いているのなら僕はノケモノだから悲しいな。


血が染みていた

氷で覆われていた道路にコンクリートが覗き始めた。暖かくなったものな。まったくもって久しぶりに見た。コンクリート道路で血を流す車にひかれた猫を。

雪や氷の道路では血が雪や氷に染みとおり、肉片が氷で固まるという冬独特の死体をさらけだしている。今年初のコンクリート道路に落ちていた車にひかれた猫なので家に持って帰ろうと思った。でも、今は学校の方が距離的に近いので家に帰るのは面倒だ。だが、学校に持ち込むとなると掃除のおばさんや先生に見つからないようにしなくてはならない。

鞄の中にはぎっしりと雑誌や工具、おやつが入っているので車にひかれた猫を入れることができない。かといってどれも捨てるわけにはいかない。

名案が思いついた。洋服の中に入れるのだ。これなら最近お腹がでちゃって~とか言ってごまかすことができる。でも実は車にひかれた猫なのだ。くくく、馬鹿共めが、これには気がつくまい。

マフィーの法則じゃないが会いたくない奴に出会った。先生だ。出っぱった腹を見ている。

自分「さ、最近正月の餅食べ過ぎてお腹出ちゃって…」
先生「お腹に何か入れているのかね?」

ガーン。


トトンツーツー

助けて。
触手に捕まった。
車にひかれた猫を取り上げられて、
僕の何かも奪われる。
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