僕を取り囲む私を観察した不定期日記で自分は誰?


やられた

ノイズ混じりで手紙を見ることができない。ほかのならば気にしないけれども、これは見たいものだから困っている。まるでヴィデオにかかるモザイクのようだ。いろいろひっくり返したりいじったりしたがどうにも見ることができない。目玉がおかしいのかもしれない。目玉を取り出してみる。右目は異常がないようだ。左目を取り出してみる。何も見えない。右目をちゃんと元に戻したのに機能していないようだ。しばらくすれば見えるようになるかもしれない。

しばらくしておこったことは目に走る激痛だった。依然目が見えない。手に血の暖かさを感じる。椅子に座る。膝に車にひかれた猫がのった。手探りで頭を撫でる。…もしかしてお前、机にあった僕の左目食べていないかい?


三半器官

親猫がするように車にひかれた猫の首ねっこくわえてみた。なんだか妙におとなしくなった。毛がばさばさと口の中に入って気持ち悪い。おまけに猫臭が口一杯にひろがる。そしてやけにヨダレが出てくる。

しばらくくわえたまま部屋をウロウロしてみた。猫が放せともがきはじめたのでカパと口を開けた。クルリと回転してピタリと着地する。スゲー。


夜に浮かぶ雲が好き

夜に浮かぶ雲が好き。どこか不気味な夜の雲。なにか不思議な夜の空。そこに浮かぶ雲が好き。雲をずっと見ていたい。でも上ばかり見ていると、喉が乾いて頭痛する。足の下には猫がいる。車にひかれた猫がいる。君もあの雲見てるのかい。ねころんで見るとはいい考え。僕も真似して寝てみよう。これは楽でとてもいい。だけど地面が冷たいね。君もなんだか冷たいね。とても静かに見ているね。僕はそろそろ帰るけど、君はまだ見てるのかい。もう帰らないと風邪ひくよ。口元の血、拭かないの?ここにある手は君のだろ。君の横に置いとくよ。それではおやすみまた明日。
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