僕を取り囲む私を観察した不定期日記で自分は誰?
2月22日は
猫の日だって。2月22日というのがきっと猫の鳴き声に似ているからだと思う。でもどうせなら22月22日にすればいいのに。2月2日を猫の日にしないで2月22日を猫の日にしたのは2の数が多いからでしょう?22月22日が空いているなら僕はその日を車にひかれた猫の日にしようかな。
私には天使が見えないから
そう言って神とか天使とかしか描いていなかった時代に人間を描いた画家がいた。正直に言います。私にも天使が見えません。だから天使を書くことができません。見えるのは内臓独特のあの臭いをまき散らし血ヘドを吐いて肉が崩れ脳ミソ飛び散らしているあの悲しい車にひかれた猫だけです。
三種類の足跡
車が走る道路は汚いな。あんなに白い雪が茶色くグチャグチャのドロドロになっている。
猫が歩いた道路は可愛いな。白い雪にてんてんと小さな猫の足跡が続いている。
僕の歩いた道路はすぐ分かるな。ビッコをひいた一本足に手に持った車にひかれた猫の血をてんてんとさせてよだれを垂らしている。
顎なし猫へ
北海道限定とかいう新カールを食べた。チーズとコーンが変わったらしい。食べていたら喉が乾いたので水を飲もうと水道の蛇口をひねった。ドロドロと赤い血が流れてきた。流しから溢れて足を濡らしはじめた。振り返る。食べかけの黄色いカールが赤い血の上に浮かんでゆらゆらしている。部屋にいる車にひかれた猫はみんな目を閉じて微動だにしない。どんどん血の水位があがってくる。ああ、このまま放っておけばみんな血で溺れて死に絶えるかも。僕の口にまで血が達した。そしてすぐ僕を飲み込んだ。溢れる血の勢いで僕は後ろに流される。これでもう誰も蛇口を閉めることができない。さようなら。別に死んでも構わないのに何だか涙がでる。
血が暖かい。やけに顔が生暖かい。目を開けると顎をなくした車にひかれた猫が僕の顔をなめている。テレビがつけっぱなしになっている。なんだまた夢か。喉がカールでからからだ。
今はなんだか蛇口から血が流れてきたらすぐに閉めてしまいそうだ。うなされていたから起こしてくれたんだね。ありがとう。なんだか君に面と向かってこのこと言うのは恥ずかしいからここに書いておくね。
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