血が吹き出している穴を指でふさいでみた。指がくすぐったいや。血が勢いよく吹き出てくるのが分かる。指を離してみた。
ぴゅー
あはは。あれ?勢いが弱くなったな。血の吹き上がる高さが低くなってきたよ。あーあ、じょろじょろと景気が悪くなって止まってしまったよ。振ってみた。う~ん。逆さにしてみた。ぽとぽとと滴るだけ。屋根のひさしからぽたぽたと雪が解けて水滴が落ちていた。補給。猫の半開きの口に水滴を入れてみた。駄目だ。血が吹き出ない。そうか…、これが「血は水よりも濃し」ということなんだね。よく意味は分からないけど。
く~。しかし、いやらしいな。僕って。馬鹿に見られないために格言入れてみたりして。
僕はアイスバーンに染み込み、そして擦り込まれた車にひかれた猫を爪で掻き集めることにした。
ガギガギ
本当にそういう音がする。ぐしゃぐしゃ集める。ぎちゃぎちゃ集める。びぢゃびぢゃ集める。ああ、爪切っておけばよかった。爪、はがれちゃったよ。雪が冷たくてよけい痛いや。僕の血って赤いなぁ。ああ、痛い痛い。痛い痛い痛い痛い。痛い。痛い痛い痛い。痛い痛い痛い痛い痛い。
雪も混じっているせいでスーパーでもらったビニール袋一杯になってしまった。でも痛いなぁ。痛い痛い。痛い痛い痛い痛い。痛い。