僕を取り囲む私を観察した不定期日記で自分は誰?


シャム猫

もう午前3時なので月曜日です。だからゴミを捨てに行きました。家の前に太ったシャム猫がいました。一回野太い声で鳴きました。僕がチラとその猫を見ると瞳が緑色に光っていました。でもすぐに猫が顔を背けたのでそれは一瞬しか見ることができませんでした。緑でした。緑に光っていました。僕はもう一度見たいなと思いました。僕がゴミを置いて歩き出すとシャム猫はパッと逃げました。そして振り返って僕を見て、十分な距離にあると思ってかゆっくり歩き出しました。その時のシャム猫の目は光っておらず、ただ、ぼこりと2つ黒く穴が空いているように見えたので少し怖かったです。

「暗いからそう見えたんだ。」

僕は独り言を言って家に向かいました。

ギャーン

後ろから鋭い叫び声がしました。あの猫だ。僕は声のした方へ走りました。車はもうはるか遠くに走っていきます。あのシャム猫です。僕はうつ伏せに倒れた車にひかれた猫をひっくり返してみました。

その目は潰れ、黒く、ぼこりと穴が空いたようにへっこんでいました。


灰色猫

夜浮かぶ青白い雲が驚くほど速く流れている。何キロにもわたる雲がどんどんどんどん流れている。何だか不吉な感じがする。家の明かりが全部消えている。車の音が聞こえない。何の音も聞こえない。うわあ!!僕は叫んでしまった。目の前の壁に真っ赤な血がついていたのだ。本当に驚いたので体中の毛穴がじくじくした。なんで目の前にあったこんな鮮やかな血に気がつかなかったんだろう。いや、さっきまであっただろうか。分からない。

血にぬれた壁の下には灰色の丸く潰れた車にひかれた猫が落ちていた。なんでこんな風に潰れたんだろう。毛の生えた肉団子だ。猫の体が一回粘土になってキチガイがそれをぐじゃぎじゃにこねたようだ。さっき拾ったシャム猫を置いてその丸く潰れた車にひかれた猫を拾った。そのあまりにも異形な姿に僕はじっと見つめていた。ぎゃっ。猫を持った僕の手に何か触れた。僕は反射的に猫を投げていた。手を見る。そこにはあの丸く潰れた猫の目玉がこっちを見て乗っていた。


今夜はなんだか変な事ばかりだ。僕は少し泣きそうになって左手にシャム猫、右手に灰色猫を持って家に急いだ。あ!僕は凍った道に滑って転んでしまった。とがった氷で手を切ってしまった。右手にべったりと血がついている。右手を深く切っていた。痛くはない。ハンカチで拭いた。拭くとまた血が出てきた。また拭いた。また出てくる。もう嫌だ!足下に落ちたシャム猫を拾い、吹っ飛ばしてしまった灰色猫を拾いに立ち上がる。膝がずきりとした。なんだよ!まったく。びっこをひいて灰色猫を拾う。ねろり。丸く潰れた灰色猫の半分がもげて落ちてしまった。僕は不精してそれでも左手だけで拾おうとした。落ちた半分の半分がまたねろりと落ちた。肉団子の灰色猫から血が出てきた。僕の左手から血が滴っている。右手がずきりとした。いつのまにかさっき切った右手から大出血してやはり血が滴っている。うわあああ!僕は二つの車にひかれた猫を投げつけて家に帰って手を洗って歯を磨いて布団を敷いてオナニーしないですぐに寝た。

傷開いた

朝起きた。夜の出来事で心臓がどきどきしている。右手を見た。小指の付け根から手首まで一直線に傷があった。服に着替えて顔を洗って歯を磨いて布団をたたんで袋を持って投げ捨てた二つの車にひかれた猫を取りに行った。謝らないと。なんだか昨晩は感情的になっていた。よかった。二匹とも落ちている。ばらばらの灰色猫を両手で掻き集めて袋に入れる。灰色猫も拾って家に帰った。また右手がずきりとした。見ると傷からうっすら血が出ている。動いたからかな?ああ、もう8時30分だ。情報処理センターへ行こっと。

変だし痛い

キーボードを叩くと右手の傷が痛い。痛い。もう血は出ないけどじくじくと陰険に痛い。痛い。痛い痛い痛い。キーボードを叩いていないのに痛い。痛い痛い。傷を見てみた。紫色になっている。痛い。臭いを嗅いでみた。腐ったような生暖かいつんとする臭いがする。痛い痛い。痛い痛い。なんだか右手がじーんと小さく震えているような感じがする。あまり感覚がない。麻痺している。指を曲げると傷が痛い。指が完全に曲がらない。うわああ。僕の右手が変だ。痛い。変だ。変だ変だ。痛い痛い。もう帰る。変だし痛い。先生に見てもらう。あ、車にひかれた猫が落ちている。いい。拾わない。右手が痛いし変だから。痛い痛い。変だ変だ。

でも引き返して拾って帰りました。右手が変で痛いけど。


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