僕を取り囲む私を観察した不定期日記で自分は誰?


はらわた

昨日、引っ越しの手伝いをしていました。楽しかったです。はらわたよじれました。涙も出ました。笑い転げて足をバタバタさせてしまいました。それくらいおもしろかったです。僕はしあわせだなと思いました。

車にひかれた猫もはらわたとかよじっているけど、その表情は全然おもしろくなさそうです。眉間にしわよせてます。怖い顔です。ふう。溜息一つ。


食べる

うんこしたのでトイレで手を洗っていました。前の鏡に僕が映っていました。よだれをたらしていました。目がうつろでした。「しっかりしろよ、自分」と声をかけました。鏡の前の僕の口がのろのろ動きました。よだれが糸をひいていました。相変わらず目は死んでいました。手が痛くなりました。手を見ました。8時間手を洗っているので手が切れて所々から血がにじんでいました。

でも、僕、うんこしたから手を洗わなきゃ。

手が、痛いな。

にゃー

車にひかれた猫がお腹を空かして鳴きました。僕も、お腹空いたから何か食べなきゃ。うんこになるけどさ。


見ないでよ!!

今日祭日だったんですね。やっぱり知りませんでした。昨日、「明日祭日ですね」というメールをもらったんだけど、「え。何?なにかくれるの?」といった感じでサッパリ理解していました。情報処理センターの前に立ってやっと昨日のメールの意味が分かりました。僕ってアホアホマン。メールくれてありがとうございました。

そういうわけで家に寝直しに帰りました。道を歩く人がみんな僕のことを

「うへ。今日祝日だと知らないで学校に行ってやんの。」

という感じで僕を横目で見ていました。恥ずかしくて抱いていた車にひかれた猫をぎゅっと強く抱いて早足で帰りました。


沢田研二

学校の帰り道に抱いていた車にひかれた猫の血で服にシミがついてしまいました。ゴシゴシ洗ったけど取れませんでした。今日店開いているかな。シミ抜きが欲しいな。買いに行きました。開いていなければ日の丸を出している家マップを作ろうと思っていました。店は開いていませんでした。

あ、犬が歩いてくる。大きかったのでちょっと怖かったです。でも、しっぽを振っていました。僕の横をついてきます。

「ジュリー!!ジュリー!!」

後ろから呼び声がしました。君の名前はジュリーって言うんだ。ジュリーはくるっと振り向いておばさんの所へ行きました。あんじょうやりや。

あったあった。日の丸立てている家。黒いライトバンが前に止まっていました。これにも日の丸ついている。変な車。あ、車にひかれた猫!!の肉片。びっしりこびりついていました。毛がついている肉片だ。爪でガリガリはがしていました。

「われ、なにしてるっ!!」

いきなりの怒鳴り声でビックリしました。家の中からおやじが出てきました。あ、ハゲだ。ハゲの人を見たら僕のやることは一つ。

「ハーゲ!!ハーゲ!!」

と叫んで逃げることです。


ある歌

実は「ハーゲ!!ハーゲ!!」じゃなくてある歌を歌って逃げたいんです。でもその歌を忘れてしまったのです。むかーーし小樽生まれの人から教わった歌です。その人からハゲの人を見たらこの歌を歌って逃げなさいと教わったのです。その歌はこんな歌です(かなりあやふや)。

1つ人目にもハゲてきた
2つ(       )
3つ耳からハゲてきた
4つ横からハゲてきた
5つここまでハゲてきた
6つ(       )
7つ斜めにハゲてきた
8つやっぱりハゲてきた
9つ(       )
10でとうとうハゲ頭!!

この括弧の所が思い出せないんです。だから「ハーゲ!!ハーゲ!!」で逃げています。その人も肝臓の手術を受けさせてくれないで死んだ女性みたいに皮膚にぶつぶつ出ていたのに放ったらかしにされて死んでしまったんです。その人も猫が好きだったから僕が車にひかれた猫を探すのに一緒につき合ってくれたりしました。おばさんが僕から車にひかれた猫を取り上げたように僕の記憶も取り上げたからどうしても思い出せないんです。でも、嫌な記憶も忘れたからいいや。多分。


0.0台

チックタックと時計の音を
させる男が僕の肩つかむ
「今日、車にひかれた猫がいたかい?」
真面目な顔で聞くけれど
その目玉の奥の奥
脳のひだの奥の奥
僕に向かってこう言っている
「馬鹿野郎死にやがれ
クソしてエサ喰って寝てやがれ
ヘド吐いて這いつくばって泣いていろ」
僕は
いつかお前の眼鏡を破って
目玉に鉛筆刺してやる
そんな僕も
今ではすっかり眼鏡っ子

どれを選ぶ?

うんこしたくてお腹空いていて眠たい場合はどれを優先するんだろう。

眠るのを優先したら眠りながらうんこするかな。うんこなんてすぐにできるからまずうんこかな。でも、もううんこもらしちゃった。ズボンぬるぬる。洗濯大変だ。うう、眠い。食べるのは後。餓死するわけでもないし。というわけで眠るね。車にひかれた猫も今日は食事なし。ごめんね。一緒に眠ろうよ。ああ、この中に、永遠に、眠りにつく…車にひかれた猫も、い、る、かも、ね…。だから、おやすみって、なんだか…、言えないよ…。ぐー。


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