車にひかれた猫もはらわたとかよじっているけど、その表情は全然おもしろくなさそうです。眉間にしわよせてます。怖い顔です。ふう。溜息一つ。
でも、僕、うんこしたから手を洗わなきゃ。
手が、痛いな。
にゃー
車にひかれた猫がお腹を空かして鳴きました。僕も、お腹空いたから何か食べなきゃ。うんこになるけどさ。
そういうわけで家に寝直しに帰りました。道を歩く人がみんな僕のことを
「うへ。今日祝日だと知らないで学校に行ってやんの。」
という感じで僕を横目で見ていました。恥ずかしくて抱いていた車にひかれた猫をぎゅっと強く抱いて早足で帰りました。
あ、犬が歩いてくる。大きかったのでちょっと怖かったです。でも、しっぽを振っていました。僕の横をついてきます。
「ジュリー!!ジュリー!!」
後ろから呼び声がしました。君の名前はジュリーって言うんだ。ジュリーはくるっと振り向いておばさんの所へ行きました。あんじょうやりや。
あったあった。日の丸立てている家。黒いライトバンが前に止まっていました。これにも日の丸ついている。変な車。あ、車にひかれた猫!!の肉片。びっしりこびりついていました。毛がついている肉片だ。爪でガリガリはがしていました。
「われ、なにしてるっ!!」
いきなりの怒鳴り声でビックリしました。家の中からおやじが出てきました。あ、ハゲだ。ハゲの人を見たら僕のやることは一つ。
「ハーゲ!!ハーゲ!!」
と叫んで逃げることです。
1つ人目にもハゲてきた
2つ( )
3つ耳からハゲてきた
4つ横からハゲてきた
5つここまでハゲてきた
6つ( )
7つ斜めにハゲてきた
8つやっぱりハゲてきた
9つ( )
10でとうとうハゲ頭!!
この括弧の所が思い出せないんです。だから「ハーゲ!!ハーゲ!!」で逃げています。その人も肝臓の手術を受けさせてくれないで死んだ女性みたいに皮膚にぶつぶつ出ていたのに放ったらかしにされて死んでしまったんです。その人も猫が好きだったから僕が車にひかれた猫を探すのに一緒につき合ってくれたりしました。おばさんが僕から車にひかれた猫を取り上げたように僕の記憶も取り上げたからどうしても思い出せないんです。でも、嫌な記憶も忘れたからいいや。多分。
眠るのを優先したら眠りながらうんこするかな。うんこなんてすぐにできるからまずうんこかな。でも、もううんこもらしちゃった。ズボンぬるぬる。洗濯大変だ。うう、眠い。食べるのは後。餓死するわけでもないし。というわけで眠るね。車にひかれた猫も今日は食事なし。ごめんね。一緒に眠ろうよ。ああ、この中に、永遠に、眠りにつく…車にひかれた猫も、い、る、かも、ね…。だから、おやすみって、なんだか…、言えないよ…。ぐー。