僕を取り囲む私を観察した不定期日記で自分は誰?


カンペ

新しい展開ですか、なかひろさん。人に捨てられた犬とか牧羊犬になりたい豚とかですかね。

ということで車にひかれた猫です。電話したら人間が出てきて驚きました。いきなり声を聞いてしまったので慌てて何を話たらいいか分からなくなりました。ちらと車にひかれた猫を見たら

「はじめまして」

という紙を出していたのでそれを読みました。次々に車にひかれた猫が大慌てで書いた紙を読んで電話の相手とコミュニケーションを取りました。車にひかれた猫の書く紙が遅いので電話相手と IRC のようにタイムラグができて何だか変な会話になってしまいました。

え、何を言っているか分からないって?そりゃ、言っている僕も何が何だか分からないもの。だから安心してください。イェーイ。


リリリ

うう、何か鳴っている。電話かな。いや、目覚まし時計だ。どこにある?ああ目の前にある。あうあ、どうやって止めるんだ。頭が混乱している。速く止めなきゃ、みんなに迷惑だ。車にひかれた猫もにゃーにゃーと鳴きだした。うわー、うるさいうるさい。どうすりゃいいんだ。どうやって止めるんだ。

ネジとバネとプラスティック。肉と骨と内臓。手がじんじんと痛い。何でも壊してしまえば静かになる。


世界は回る

昨日積もっていた雪が今日はすっかり消えている。僕が思い出し笑いや過去の思い出に絶叫している間にも太陽が雪をとかしている。そしてもちろん車にひかれた猫も増えていく。世界は動いていて止まらない。僕の知らないところで知らない人が何かしている。そう考えると不思議。だからそれが知りたくて知らない人をつかまえて昨日の6時9分に何をしていたのか聞いてみる。

ポンとこの世界から消えてみて世界を見てみた。僕の死体を焼いて土に捨てて終わり。そして何も変わらず世界はキチキチ動いている。ポンと生まれて世界に入ってみた。キチキチ動く世界はやっぱり変わらない。何人くらい死んだら世界の動きは変わるんだろう。


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