僕を取り囲む私を観察した不定期日記で自分は誰?


蜘蛛の灰、風に舞う

頼んでいたセアカゴケグモ100匹が届いた。箱を開ける。みんな死んでいた。これで道民毒殺毒蜘蛛計画もパアだ。かわいそうなことをした蜘蛛たちを燃やして灰にしてまいた。本来ならこの地で大繁殖して道民を毒殺するはずだったのに。風に灰が舞う。

ぶ。逆風。ぺぺぺっ。なんだっていうんだよ。わー、髪もじゃりじゃりだ。首に縄を巻いて連れてきた車にひかれた猫も灰まみれだ。洗わないといけない。仕事が増えてしまったよ。

シャワーを浴びながらタライに湯をはる。そして中に車にひかれた猫を入れる。湯に灰が落ちる。猫がバタバタしている。汚れているんだから綺麗にしないといけないんだよ。静かにしなよ。猫の手は背中に回らないから楽チン。ぐっと首を押さえてつっこんでおけばいいからね。ぶくぶくぶく、とね。

ぶくぶくぶくぶくぶくぶく。ぶくっ。ぶくっ。…ぶく…。……ぶく。ごぼ。………。………………。


ぐりぐり

ふー。サッパリした。コーヒー牛乳グビグビ。君も風呂上がりだし牛乳飲む?なんか目玉飛び出ているよ。まばたきしなよ。動かないね。そんなに体洗われるの嫌だった?怒らないでよ。こら。まばたきしないと指を目玉につっこむぞ。ほら。

げ。

風呂上がりの車にひかれた猫の目玉に三日月型の僕の爪の跡がつく。うへ。ごめんね。目玉に指、つっこんじゃった。仕返しにパンチしていいよ。ほら、足の裏に。パンチだよ。ひっかくんじゃないよ。あれ?何もしないの。なんで僕を見ているの?まばたきしなよ。ピースマークを作って両目に入れちゃうよ。

ぶすり

…う。ほら、僕は約束を守るんだから。ねぇ、まばたきしてよ。痛いでしょう?目玉に指が突き刺さっているんだよ。このまま持ち上げちゃうよ?ほら?!うわー、ごめんなさい!目から血が出ているよー。ごめんなさい、ごめんなさいっ!!


目玉に穴が開いちゃったね。うーん。どうしようか。そうだ。もう春だから使わなくなったリップクリームを右目に入れて小さくなった鉛筆を左目に入れよう。

あはは。両目からナニヤラアヤシゲナブッタイが飛び出ていておもしろいよ。強そう。TVの上にいようね。にゃーにゃーはTVの上にいようね。ずっとずっとにゃーにゃーはTVの上にいようね。そうすればにゃーにゃーはもう二度と車にひかれないものね。にゃーにゃーはもう車にひかれた猫にならないですむものネ、にゃーにゃー。


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