ぶ。逆風。ぺぺぺっ。なんだっていうんだよ。わー、髪もじゃりじゃりだ。首に縄を巻いて連れてきた車にひかれた猫も灰まみれだ。洗わないといけない。仕事が増えてしまったよ。
シャワーを浴びながらタライに湯をはる。そして中に車にひかれた猫を入れる。湯に灰が落ちる。猫がバタバタしている。汚れているんだから綺麗にしないといけないんだよ。静かにしなよ。猫の手は背中に回らないから楽チン。ぐっと首を押さえてつっこんでおけばいいからね。ぶくぶくぶく、とね。
ぶくぶくぶくぶくぶくぶく。ぶくっ。ぶくっ。…ぶく…。……ぶく。ごぼ。………。………………。
げ。
風呂上がりの車にひかれた猫の目玉に三日月型の僕の爪の跡がつく。うへ。ごめんね。目玉に指、つっこんじゃった。仕返しにパンチしていいよ。ほら、足の裏に。パンチだよ。ひっかくんじゃないよ。あれ?何もしないの。なんで僕を見ているの?まばたきしなよ。ピースマークを作って両目に入れちゃうよ。
ぶすり
…う。ほら、僕は約束を守るんだから。ねぇ、まばたきしてよ。痛いでしょう?目玉に指が突き刺さっているんだよ。このまま持ち上げちゃうよ?ほら?!うわー、ごめんなさい!目から血が出ているよー。ごめんなさい、ごめんなさいっ!!
あはは。両目からナニヤラアヤシゲナブッタイが飛び出ていておもしろいよ。強そう。TVの上にいようね。にゃーにゃーはTVの上にいようね。ずっとずっとにゃーにゃーはTVの上にいようね。そうすればにゃーにゃーはもう二度と車にひかれないものね。にゃーにゃーはもう車にひかれた猫にならないですむものネ、にゃーにゃー。