僕を取り囲む私を観察した不定期日記で自分は誰?
ネジのあまり
バックリと腹の裂けた車にひかれた猫が道に落ちていた。そのバックリ裂けた腹に両手を入れて内臓をつかみ、ぐっと引っ張れば内臓全部ズルリと取り出せそうだ。取り出せそうなだけで実際は取り出せない。それは分かる。試したから。
グジャリグジャリと溢れ出た内臓を腹に戻す。おかしい。さっきはこの内臓、腹にすっぽり収まっていたはずなのに今は入りきらない。こんなに腸とかがはみ出ている。腹も内臓が無理に押し込まれたせいでボゴボゴしている。
ほら、これはアレだ。チェインソーとかを分解してもう一回組み立て直すとネジがあまるというアレ。内臓、あまっちゃったんだね。やーね、もう。
なんだ、肩か
肩をぽんぽんと叩かれて振り返った。猫の尻尾だった。向こうも振り返っている。尻尾を振ったら何かに当たったから振り返ったのだろう。「なんだ、肩か」という顔をしている。
なんだか悔しい。「なんだ、肩か」という肩で。これがロケットランチャーを内蔵していたり、実は目がついていたり、だったらあの猫の「なんだ、肩か」という顔はさせなかっただろうに。
ま、目があっても普段服を着ているから意味がないさね。ロケットランチャーがあるといいな。いや、自動追尾式のミサイルの方がいいや。車にひかれた猫を残して走っていく車にヒュルルルルルルルルルル…ドッカーンッ!!みたいにね。ああ、でも普段服を着ているからミサイルとか内蔵していても駄目か。服破れるし。世の中、うまくいかないものだね。
隣の窓割れた
ガラスの砕ける音って好き。澄んだあの音。でもさっき聞いたガラスの砕けた音は濁っていた。あの音は好きじゃない。どうしてガラスが砕けたかというと車に跳ね飛ばされた車にひかれた猫が突っ込んだからです。ザクザクとガラスが刺さっていました。三角形のガラスの破片。猫の体からドンドン出てくる。ズルリと抜く。長さ5センチのとかが腹に突き刺さっていた。よく生きているよね。偉い偉い、と頭を撫でてあげた。元気になれよ、と願いも込めて。
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