永遠に車にひかれた猫はひかれ続けることはない。車にひかれた猫はどんどん小さくなっていくから。肉が飛び骨が砕け車にひかれた猫は何が何だか分からないボロに変わっていくから。そしてただの肉片になった時にもうひかれない。後続車に踏みつけられるかもしれないけど。ああ…救いがない。風化するまで。
気になる。まぶたの裏の指紋のついた目玉。手の届かない腹の内部がむず痒い感じ。気になる。
気になるっ!
猫のまぶたの上に指を乗せてグルグル回した。これで指紋が拭けたか?まぶたを開けてみる。うぬぅ。目玉の指紋は消えかけているがグルグル動かした跡が波のように残っている。ますます悪いことをやってしまった。つまり「余計なことをしてグシャグシャにする」というやつだ。
気になるっ!!
こうなったら最後までやるしかない。うーん、と考えてみた。すっかり眠気も覚めた。僕の考えついた方法は舐めること。うまくいった。なんだか官能的だった。やーね。
カラスも十分なご馳走にありつけたことだしなんだか僕もパンじゃなくてもっと豪華なものが食べたくなった。ということで天丼を買って帰った。
カラスの食事を邪魔したくなかったので違うコースを通って帰った。だからあの車にひかれた猫がどうなったか分からない。どうなっただろう。今日の学校帰りに楽しみが一つできた。