僕も飛びたかった。
「どうしたら飛べるんだろう。」
僕がつぶやくと、横にいた猫が
「こうするんだ!」
と軽やかに走っていった。
「ぶにゃぁぁぁあああ!!」
猫は車にひかれて空に舞い上がる。僕は駆け寄った。車にひかれた猫は僕を見てウィンクして
「な。」
とイタズラっぽく笑った。そして血を吐いて死んだ。
僕は車にひかれた猫を抱いて大きな車を待った。全然走ってこない。少し退屈して空のことを考えていたら遠くから低いうなり声が聞こえてきた。でかい。おまけにスピードも違反していそうだ。
心臓がドキドキ鳴った。背中がゾワゾワ震えた。手に汗がジワジワでてきた。
『猛熊注意』とスッテカーを張ったトラックだ。
「えーいっ!!」
僕は飛び出した。あ、出るの少し速すぎた。僕はガツンとあたって地面に叩きつけられた。腕の中の猫がポーンと飛び出てガツーンとふっ飛んでいった。僕はトラックの下で激痛で動けないで寝ていた。
ドシャッ
車にひかれた猫が地面に落ちてきた。
トラックは走り去っていった。後ろには『追抜厳禁』とステッカーが張ってあった。僕は飛べなかった。